五十肩は、通称で原因が、まだはっきりと分かっていません。肩関節周囲には軟部組織、腱、腱板、滑液包があり、これらに様々な障害が発生し、その障害部位によって病名が異なっています。

鑑別すべき疾患は、

１．石灰沈着性腱板炎

２．上腕二頭筋長頭腱炎　

３．肩峰下滑液包炎　

４．腱坂炎　

５．腱坂断裂の５つが、挙げられます。

鍼灸施術のポイントは、急性期には冷やし、慢性期には温める。この２点です。これを間違えると必ず増悪しますので要注意です。

 

日常生活における留意点は、１．衣類は前空きのタイプにする。２．昼夜を問わず汗ばんだ下着は、こまめに取り替える（冷えの予防）。３．就寝時の肢位を工夫し、枕や毛布で腕を支える。４．疼痛の軽減を待ってから運動療法（拘縮の予防）を行う。

要約すると以上になりますが、病気の治癒には日々の養生が欠かせません。

鍼灸重宝記（本郷正豊著、1718年）によると「肩の痛むこと、或いは痰により、或いは風寒湿によるといへども、多くは気血つかへたゆへなり・・・」と書かれ、「みだりに刺すと人を害するとも～」とあります。

その為、当鍼灸院では、患者さまの安全性を考慮してツボに関係なく、鍼を患部にブスブス刺すという施術方法を行っていません。

 

鍼灸では五十肩は、中風病・脾病。痛風病に属し「肝経」の支配している筋に障害を与えている疼痛、麻痺や鈍重感等の病症や肩甲骨内縁より肩関節の筋が萎縮し引きつる運動痛や運動障害の緩和が目的となります。